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三陽商会、2017年12月期 本決算
減収するも、粗利率・経費削減効果で損失幅が縮小

update: 2018/02/15

《財務分析レポート》

三陽商会、2017年12月期 財務諸表(表1)

三陽商会、2017年12月期
財務諸表(表1)

三陽商会の2017年12月期連結決算は、主力の百貨店流通が苦戦したことで減収に至った。利益面は、売上高総利益率の改善および販管費の削減により、損失幅が縮小した。主力の婦人服(前年比6.1%減)をはじめ、紳士服(10.7%減)、服飾品(4.7%減)も苦戦傾向だった。

主力の百貨店チャネルが苦戦

新たに「バーバリー」に替わる「マッキントッシュ」や「ポール・スチュアート」などのブランド事業の強化・拡大を推し進めてきた同社。既存店ベースでは99%とほぼ前年並みの推移だったが、上期に複数のブランドを終了した影響により、前年を下回った。EC/通販は20%増と好調な推移だった。

三陽商会、2017年12月期 販路別売上高(表2)

三陽商会、2017年12月期
販路別売上高(表2)

部門別では、百貨店チャネルが苦戦した半面、EC・通販が増収を達成。今期も引き続き、百貨店ビジネスは苦戦の予想で、減収の見込みだ。替わりにECやファッションビルなどほかのチャネルで増収を計画している(表2を参照)。

3カ年の中期経営計画「Sanyo Innovation Plan 2017(SIP 2017)」の進捗状況は、修正した17年度の計画値はほぼ達成できている。営業損失幅の圧縮では、特に在庫コントロールによる評価損、処分損の削減(27億円)が寄与した。粗利率が改善し、販管費率が低下したことで、収益性が向上している(表1を参照)。

不採算店舗の撤退は計画通りに進んだ。販売員の生産性も前年に比べて約6%向上した。在庫管理およびサプライチェーンの最適化はある程度、進んだが、MDの標準化・高度化では課題を残した。

今後は直営店を強化する。「マッキントッシュ フィロソフィー」および「ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ」が重点ブランドだ。また、コーポレートブランド──「サンヨーコート」や「BLUEFLAG」「三陽山長」などの強化にも力を入れる。ECビジネスの強化も継続した課題だ。

財務面では、効率性指標が軒並み改善している。有利子負債は88億円(前期92億円)で、やや削減が進んだ。D/Eレシオも0.18倍と正常値にある。手元流動性比率は3.6カ月と安定している。収支が黒字化すれば、経営の立て直しが現実味を帯びてくる様相だ。

通期の業績は、わずかだが利益計上=黒字化を見込んでいる。連結売上高は630億円(0.7%増)、営業利益が5,000万円、経常利益が1億円、当期純利益が25億円の計画だ。当期利益は、三陽商会青山ビルの譲渡益、約33億円の計上を盛り込んだ数値である。

 

(樋口尚平)

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