主要アパレル企業7社、2017年度 第2四半期決算まとめ
増益は4社、回復の兆しも見られる
update: 2017/11/20
《財務分析レポート》
主要アパレル企業7社の2017年度の第2四半期決算が出揃った。回復の兆しが見られる企業もあり、増益を達成したのは4社だった。旧来の販路──百貨店などを主力にする企業は苦戦した。各社共に新規販路のECが成長している。
効率化狙い、ブランド強化にメリハリ
対象にしたのは、ワールド(非上場)、オンワードホールディングス、アダストリア、TSIホールディングス、レナウン、良品計画、ユナイテッドアローズの7社(順不同)。ワールドとユナイテッドアローズは3月期で、そのほかは2月期だ。ワールドは非上場で、唯一、国際会計基準(IFRS)を採用している。
ワールドは減収、営業段階で増益の結果で、税引前利益は微減した。持ち株会社制に移行した今期、各社間で収益性の向上に対する意識が徐々に高まってきたという。1年前倒しで中期計画の数値を達成しており、効率の良い経営体制の構築は順調に進んでいるようだ。日本会計基準による営業利益(コア営業利益)は3期連続で増益を達成した。「アンタイトル」「インディヴィ」「エッシュ」「ココシュニック」「アクアガール」など計15のブランドが既存店ベースをクリアした。
オンワードホールディングスは、休止ブランドの影響で減収だったが、国内事業が健闘し増益を達成した。主力の「23区」レディスが132億円(1.2%増)と堅調だったほか、「自由区」レディスが45億円(1.8%増)と健闘した。「ポール・スミス」レディスが20億円(5.7%増)、「ジョゼフ」が23億円(4.4%増)と健闘した。「エニィ スィス」レディスが43億円(3.5%増)とプラス成長だった。
アダストリアは新規事業の後押しもあり増収したが、新規事業の立ち上げやセール品が増えた影響で減益だった。ブランド別では、主力の「グローバルワーク」が188億円(2.5%増)と堅調だった。「ニコアンド」は130億円(17.0%増)と2ケタ増だった。「スタディオクリップ」も124億円(12.7%増)と好調だった。
TSIホールディングスの第2四半期(3-8月)は、一部のブランドが不振だった影響で、減収・減益だった。主力の「ナノ・ユニバース」が106億円(5.1%減)と苦戦した。「ナチュラルビューティベーシック」は83億円(0.8%減)と微減。「ローズバッド」が36億円(21.1%減)と大きく苦戦したが、「マーガレットハウエル」は69億円(8.0%増)、「パーリーゲイツ」も57億円(16.0%増)と健闘した。
レナウンは店頭売りが苦戦し減益となったが、効率改善が進み損失幅は縮小した。レディスでは、「シンプルライフ」が16億円(3.5%増)、「エンスウィート」が15億円(4.9%増)、「エレメントオブシンプルライフ」が11億円(17.7%増)と健闘した。ユナイテッドアローズは、主力業態の「ユナイテッドアローズ」が好調だったほか、コーエンやクロムハーツの増収もプラスに働き、増収を達成した。仕入原価の低減や値引き販売の縮小により経費削減が進み、増益となった。
良品計画は国内外ともに堅調で、増収・増益を達成した。カナダ、イタリアを除く地域で増収を達成した。衣料品が8.8%増と好調だったほか、生活雑貨が7.5%増、食品が6.6%増といずれも1ケタ後半の伸びだった。
ECが成長分野、強化ポイントに掲げる社が多数派
EC(電子商取引)が成長分野で、強化ポイントに掲げる社が多数派である。ワールドのECビジネスの売上高が86億円(12.4%増)と2ケタの増収。通期では、前期の169億円を上回る見通しだ。オンワードホールディングスは、売上高が国内で80億円(42.1%増)、海外で6億円(23.4%増)、計86億6,100万円(40.5%増)。
アダストリアのEC売上高は152億円(19.5%増)と好調な推移だった。国内売上に占める比率は15.7%(2.1ポイント増)に増加し、うち自社ECサイトが約8.2%を占めている。TSIホールディングスのECビジネスは123億円(12.9%増)と急成長している。売り上げに占める比率も16.8%(2.6ポイント増)と増加。主力の「ナノ・ユニバース」は在庫調整のため5.7%減と減収したが、ほかのブランドでは25.8%増と好調な推移だった。
レナウンのECは、自社サイトを筆頭に、着実に伸びている。売上高は5億300万円(9.5%増)だった。通期では、13億円(23.9%増)を計画している。ユナイテッドアローズの「ネット通販」は103億2,900万円(21.0%増)で、2ケタの増収だった。対計画比でも60.%増とプラスの成長だった。良品計画のネットストア売上高も伸びている。通期で10%増の計画を立てている。
(樋口尚平)