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かまだプリントとエムズ
“黒体”を使った消臭プリント技術を開発

update: 2017/02/20

《企業レポート》

かまだプリントと エムズが共同開発した 消臭プリント

かまだプリントと
エムズが共同開発した
消臭プリント

アパレルなどのプリントを手掛けるかまだプリント(大阪府守口市)がこのほど、株式会社エムズ(兵庫県川西市)が開発した高い消臭機能を持つ“黒体”を使用した消臭プリント技術を開発した。繊維などにプリントした状態でも高い消臭機能を発揮するという。

肌着やスポーツなど、幅広い分野へ採用拡大

黒体とは、電磁波を完全に吸収する性質を持った物質で、優れた消臭能力も持ち合わせる。エムズが開発した黒体は、臭いの物質を“触媒機能”により分解するため、半永久的に消臭機能が保たれるという。農作物の育成や工業用途で使われてきたが、加工が難しいこともあり、ウエア関連への採用は進んでいなかったようだ。

ラメ入りも可能な消臭プリント

ラメ入りも可能な消臭プリント

かまだプリントではこの黒体を使い、消臭機能が保たれるプリント技術の開発に取り組んできた。黒体を含む材料では、堅牢度など安定したプリントが難しいという。今回、消臭機能を発揮するデータ(エビデンス)が取れたため、実用化のめどが立った。

アパレルでは、糸の改質や後加工などで消臭機能を発揮する製品は存在しているが、プリント自体に消臭機能を持たせたものはなかった。ラバープリントでも消臭機能を発揮するそうで、「プリントでこうした機能性を発揮する事例は初めて」(かまだプリント、久保祐之代表取締役)だという。今後はプリントする生地の種類や条件を色々試験し、本格的な実用化を目指す。すでに一部のゴルフウエアやレディスブランドへの採用が内定している。

消臭機能の持つ“黒体繊維”も展開

黒体繊維を使った肌着

黒体繊維を使った肌着

また、エムズは黒体を使用した“黒体繊維”も開発した。この黒体をレーヨンに練り込んだ“黒体繊維”を使い、糸自体に消臭機能を持たせたテキスタイルの実現に漕ぎ着けた。黒体繊維を使用したウエアは、体臭を消すニーズが高い介護分野には最適。ミツヤコーポレーション(大阪府堺市)を通じて、介護分野やアパレルメーカーへの提案を進めているが、徐々に採用事例が増えているという。

風合いがソフトなレーヨンは肌着や下着など直接、皮膚に触れるウエアに向いている。また昨今、需要が高まっているヨガ系ウエアにも最適な素材だ。こうした製品では、恒常的な消臭機能の発揮が重要なため、今後は新しい需要の喚起が期待できる。黒体が文字通り“黒い物質”のため、現段階では白い繊維にならないというが、こうした課題が解決されれば、アパレルへの採用もさらに拡大することが予想される。

(樋口尚平)

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