財務分析レポート
三陽商会 2015年12月期 連結決算
気候変動、「バーバリー」の契約終了が影響し減収減益に
update: 2016/02/15
三陽商会の2015年12月期連結決算は、暖冬など気候変動のほか、「バーバリー」ブランドの契約終了の影響もあり、減収減益となった。売上高総利益率(粗利率)は1ポイント改善したが、販管費率が増加し、減益に至った。主力ブランドに据える「マッキントッシュ」が前年から大幅に売り上げを伸ばした。
「マッキントッシュ」が健闘
連結売上高は974億円(12%減)と2ケタの減収になったが、気候変動や「バーバリー」の契約終了が大きく影響したとみられる。しかし、粗利率は改善しており、販管費増で利益は目減りしたが、販売状況は健全だったようだ。
ブランド事業別の売上高では、主力の「マッキントッシュ」が128億円(90%増)と好調に推移した(別表参照)。「ポール・スチュアート」は微減。「エポカ」が76億円(4%増)、「エヴェックス」が51億円(4%増)と健闘した。成長著しいのが「ラブレス」で、売上規模は27億円と小さいが、20%増と好調だった。
販路別では、百貨店が苦戦傾向だった。ファッションビル(FB)や路面店も2ケタ減と苦戦した。一方、Eコマース・通販など無店舗販売が2ケタ増と好調だった。
財務面では、当面の不安材料は見当たらない。期末の有利子負債は96億円(26億円減)と削減されているし、D/Eレシオも0.1倍台と問題のない水準にある。
2016年は新規・基幹事業を強化
今期は新規事業および基幹事業を強化する。「マッキントッシュ」のほか、「バーバリー」に替わる新ブランド「ブルーレーベル・クレストブリッジ」および「ブラックレーベル・クレストブリッジ」の知名度アップと新規顧客獲得に力を入れる。
Eコマース事業の強化も進める。「SANYO iStore」を核にして、オムニチャネルの推進により販売企画の拡大を図る。在庫の一元化によりロスを削減するほか、顧客データの分析により精度の高い情報の提供にも取り組む。商品企画では、「100年コート」を軸に事業拡大を図る。また、「Jクオリティー」の認証申請ブランドを2増やし6まで拡大する計画だ。
通期の業績見通しは、連結売上高が770億円(21%減)、営業損失20億円と減収・損失を計上する。2018年度を最終年度とする中期経営計画が進行中で、今期は3年目に該当する。不透明な市況を鑑み、売上計画は当初の850億円から下方修正するが、営業損失額は変更していない。最終年度には連結売上高1,000億円、営業利益50億円を確保する計画だ。今期は損失を計上して水面下に沈む段階だが、来期からはV字回復を目指す。
(樋口尚平)